2019年4月12日

北杜市長

渡辺英子 様

 

北杜市太陽光等再生可能エネルギー発電設備 

設置に関する検討委員会 市民委員 

鎗野達男、学正博次、弘田由美子 

塙喜一郎、渡部義明、三浦剛、長田富丈 

 

 

(仮称)北杜市太陽光発電設備設置と自然環境の調和に関する条例(素案)」に関する

                    公開質問書に対する2019328日付け回答書について

 

前略

 公開質問書に対する市長からの回答書を拝受いたしました。

 

 お送りいただきました市長の回答は、既に検討委員会で語り尽くされた議論の内容およびその結果全委員の同意のもとに提出した提言を尊重したものとは考えられず、到底納得できるものではありません。

 

 また、回答は条例素案の第一条に掲げられた目的を達成するには不適切な内容と言わざるを得ません。太陽光発電設備の無秩序な設置による環境破壊、災害危険の増加、住民の生活環境の悪化など具体的な事例を示した上で、最低限必要な規制条例骨子を提言しました。しかし、市長は、「財産権の侵害」「過度な制約」を盾に事業者の利益のみを過剰に保護し、現在の問題ある設置を容認しています。住民が苦しむ無秩序な設置状況を改善し、自然環境、生活環境、景観との調和を真に図ろうという姿勢は残念ながら見られません。安全・安心の実現だけが財産権の侵害を可能とするわけではなく、環境や景観に対する規制よりも事業者の受忍の程度がより高くなるというものです。地域特性を踏まえて、比例原則に配慮した財産権の合理的規制を条例で行うのは、まさに憲法94条が規定する「法律の範囲内で」の内容とされています。

  

条例素案は、これまで北杜市が制定してきた法令の委任に基づく条例とは異なります。現在の法令が対応しきれていない地域の問題を解決するための独立条例です。それにも関わらず、回答ではあくまで法令に丸投げをしている所が多々あり、自ら地域と住民を守るために条例を制定するという姿勢が欠けています。

 

私たちは、この条例素案は検討委員会の提言の重みを尊重せず、北杜市の貴重な財産である「豊かな自然環境及び美しい景観並びに市民の安全・安心な生活環境」を軽視したものとして強く抗議すると共に、提言に沿った条例案とするように要請いたします。

 

回答書について (当初の質問および回答内容は省略します。該当項目を参照ください。)

 

1.禁止区域

   国立公園・国定公園については、太陽光発電設備設置に関する許可基準がある上での上乗せであるから理解はできる。

   しかし、少なくとも土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域、砂防指定地、保安林については、それぞれの区域を指定する法  

   令の趣旨からして、自然災害が発生するおそれのある区域に太陽光発電設備設置に関する規定がないからといって、設置を許可

    する趣旨ではないことは明らかで、相当な立法事実がある。詳細は検討委員会で述べた通り。

  

2.禁止区域

       近年の太陽光発電設備の設置を想定していない以前の法令では対応できないから自主条例を制定する必要があるにもかかわ

     らず、対応していない法令に丸投げしようとしており、条例制定の必要性と目的が理解されていない。

 

3.高さ制限

        周辺地域への影響を全く考えずに、事業者にとっての発電効率を最大にすることのみを数値の根拠とすることは事業者利益の

    みに偏重しており、合理的説明とはいえない。また、北杜サイトのような高速道路脇の設置という実状とは異なる環境を根拠にして

    いること自体が、現状認識不足である。

        事業が不可能になることは過度の制約であるが、電気設備の技術基準に適合した設備では高さ1.5m以下で十分設置が可能

    で、事業者にとって過度な制約とはならない。

 

 4.離隔距離

     区域によって分けたのは、地理的特性(標高、地形、利用状況等)が異なるためにそれぞれの状況に応じた基準を設けることが

    環境との調和を保つためには妥当だと考えたからである。

       市長は、安全目的以外の規制は過度の制約で合理的根拠ではないとの解釈のようであるが、「自然環境」「生活環境」「景観」を

    守る目的も合理的根拠であり、地域の環境保全や地域住民の福祉の増進に有用な規制は、法令に根拠がなくても条例で定めるこ

    とは可能である。当然に営業の自由と財産権とのバランスを考慮する必要はあるが、市長の主張のように事業者利益のみを優

     し、地域の環境劣化を軽視することは、住民の福祉の増進を図るという役割に反するのではないか。 

 

5.計画段階の事業計画の周知

      平成29年のFIT法改正により接続契約後に認定が行われ、事業の実施が確実であることが認定の条件となっている(FIT法第9

    第 3項第2号)。さらに事業計画初期段階から地域との関係を構築することが認定基準とされる事業計画策定ガイドラインで求めら

    れている。市長の回答はこの法の趣旨に反している。

  

6.説明対象となる地域住民の範囲

      100m以内は、事業者が説明の義務を負う範囲であり、その他利害関係者は説明を受けることが可能という趣旨の提言であり、

    そのことは検討委員会でも十分説明し理解された。

        即ち、事業者が説明対象として説明会の実施を必ず伝える義務があるのは100m以内の範囲の住民および土地所有者であ

  る。それ以上の利害関係者に事業計画を広く伝える目的で計画地に標識を設置することを求めた。100m以上の範囲の住民およ

  び土地所有者で利害関係があると自ら判断した者は、説明会に参加することができるという趣旨であった。

  しかし、この条例案では事業者が100m以上の範囲の住民および土地所有者を排除することに悪用されかねない。

  

7、8.説明会

   「説明会が効果的でない」「負担」というのは、地域の理解を得ずにあくまで事業を強行に進めようとする事業者の考えである。そ

  のことは、2014年の設置が顕著になった時から最も深刻な問題であった。住民を無視し、事業者利益のみを優先している。

 

9.強度計算書の確認

     関係法令の遵守と適法な設備であることの確認だけを求めているのであって、FITの認定取得を確認することと何ら変わりがな

    い。まして限りなく違法の疑いのある設備が横行していることを知りながら、確認書類の提出さえ求めないのは違法を容認する行為

    であり、それを国の法令のみに丸投げするのは、無責任である。

  

10、林地開発許可にあたるかどうかの確認

      市に林地開発許可が必要かどうかの判断を求めているのではなく、地域の状況に詳しい市がまず周辺の公開認定情報を確認し

    て、総合的に林地開発許可にかかる可能性があれば、県に委ねればよい。その最初の確認業務を行う義務を負うという意味であ

    る。 

 

11.既存設備

      既存設備については、既に明らかに違法であるものと災害が起きているものに限る意図であることは検討委員会でも十分説明し

    た。過度な制約ではない。

                                                                                以上