201732

北杜市市長

渡辺英子様

                                                                                                               太陽光発電を考える市民ネットワーク共同代表一同

   拝啓

  早春の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。


 私共太陽光を考える市民ネットワークの再度の面談要望に対し、227日付けの回答書を拝受いたしました。 まずは、ご多忙中にもかかわらずお願いいたしました期日通りに返信いただけましたことに、御礼申し上げます。


太陽光発電設備に関しましては、41日に新FIT法が施行されることを控え、大きな節目であり、重大な局面と考えておりますが、新年度に入ってからでないと面談は難しいということを伺い、誠に残念に思います。それでは、面談に関しましては4月以降に再調整いただくとしまして、先般の217日にお送りいただきました回答文書に付きまして、再公開質問状を送らせていただきます。誠に恐縮ではございますが、317日(金)までにご回答を下記までお送りいただきますよう、お願い申し上げます。


         メール送信先: 太陽光発電を考える市民ネットワーク 

                         yametebassai@yahoo.co.jp

敬具

 

 尚、これまでと同様に本公開質問状とお送りいただきます回答書につきましては、全て公開とさせていただきますことをご了承

 ください。

 

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  太陽光発電を考える市民ネットワーク 御中

 

  陽春の候、太陽光発電を考える市民ネットワーク共同代表の皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。

さて、先の質問に対する回答に対し、再質問をいただきましたので、お答えいたします。


                       平成29425

                                                                                                                 北杜市長 渡 辺 英 子

 

 【質問は斜文字で記載しています】


1. 市長は、森林の機能、価値をしっかりと認識されているとのことでした。現在北杜市では、土砂災害警戒区域などにおいても太陽光発電設備の設置が行われています。


山梨県の他の市町村、例えば、甲府市、都留市、山梨市、大月市、甲斐市、笛吹市、上野原市、中央市等は、土砂災害警戒区域や砂防指定地等災害危険区域を県のガイドラインで定める「立地を避けるべきエリア」のうち特に市町村が定める重要な地域として指定しています。北杜市再生可能エネルギービジョンでは、基本方針1で“災害に強い安心・安全のまちづくり”を謳っていますが、これまでに人命を失うような甚大な土砂災害にたびたび見舞われてきた歴史を持つ北杜市の災害危険区域で、もし実際に災害が発生した場合、市長としてどのような説明をお考えですか? 


市長は、このような市民の安全に重大な被害を及ぼしかねない場所についても、あくまで所有者の財産権を守ることを優先することが、行政としての正しい在り方であるとお考えですか? [原文ママ]


→ 北杜市再生可能エネルギービジョンにおいては、自立・分散型の再生可能エネルギーや蓄電池を防災拠点となる建物や周辺の街路灯へ導入を検討し、停電に強いまちづくりを目指して、災害時に電気や熱を供給可能とするためのものであります。

また、山梨県の太陽光発電施設の適正導入ガイドライン本文において、立地を避けるべきエリアに示されていることから、充足できるものであり、本市では、法令により制限のあるエリアへの立地を避けるべきとしております。


事業者に対しては、事業区域が法令に該当する規制区域である場合は、設置が可能なのか否か、太陽光発電設備設置指導所管課はもとより、各法令等所管の市部局又は山梨県等へ確認・相談するよう指導しております。規制エリアにあっても設置が禁止対象となる行為等が定められており、これに該当しない場合は、設置が可能となってしまうことも事実です。

  よって、事業者には再度検討を促すなど、必要な対応・指導を行うこととしております。


なお、太陽光発電設備に限るものではなく、危険災害区域であれば、法令によりその区域の指定及び対策、その措置等について規定されているほか、発災時には「北杜市地域防災計画」に基づき迅速・適切な対応を取ってまいります。

   したがいまして、法令に規定がない、または、可能な行為については、財産権の行使に対して制限が難しいということであり、財産権を守ることを優先するということとは趣意が異なるものと考えております。

 


2. 昨年末に大泉町西井出の標高約1300mの八ヶ岳高原ライン沿いの土砂災害特別警戒区域で1ヘクタール弱の森林が伐採され、太陽光パネルが設置されました。現場の下流域には多くの民家があり小海線が走っています。市民の通報を受け、調査の結果、敷地の多くが砂防指定地で県の許可が必要であったことが判明しました。市が伐採届、指導要綱に基づく設置届、景観条例に基づく設置届を受理していたにも拘わらず、立地場所の確認は一切行われなかったということになります。県からの指摘で気づく以前に、土地の事情に最も詳しく、また設置場所について敏感であらねばならない北杜市がこのような重大な違反を見つけることができなかったことをどのようにお考えですか? [原文ママ]

 

→ 平成293月北杜市議会定例会で答弁したとおりであり、事業者より太陽光発電施設設置に関する手続きの問い合わせがあったことから事業区域の地番を確認し、同月に山梨県中北建設事務所峡北支所へ各法例等による指定の該当有無を確認しております。続いて、事業者からの届出に係る提出書類の確認依頼を受け、確認作業を行う中で、「河川法」、「砂防法」、「急傾斜地の崩落による災害の防止に関する法律」、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」及び「地すべり等防止法」の手続きの確認を行うよう、山梨県の所管課に、確認、指示を仰ぐよう指導しております。

   施設の完成の後に、山梨県に対し、砂防指定地における手続行為が行われているか照会したところ、行為が行われていないとの報告を受けたことから、伐採行為に係って条例違反の疑いがあるとして、所管である山梨県に確認等を依頼したものであります。


今後もこれまで以上に関係部局や機関と密接な連携、指導体制を図ってまいりたいと改めて考えているところであります。


 

3. これは、明らかに現行の太陽光の設置に関する指導要綱では、機能しないということです。民有地において、所有者の財産権があることはもちろんですが、それ以上に市は、地域住民の生命や平穏な生活を守る責務、貴重な自然環境を将来に渉って維持していく責任があるはずです。今、明確に新FIT法において、また事業計画策定ガイドラインにおいて、地域の特性に合わせた立地規制が各自治体に委ねられています。そして事実、多くの自治体が立地規制を条例に定めるよう動いています。


 市長は、「要綱の見直しを検討している」とのことですが、先の要綱が施行されてから既に2年5ヵ月が経ちますが、設置届の提出以外には全く実効性は見られません。


   「 粘り強く指導を行って参りました」と言っても結果が伴わなければ、指導ができたとは言えません。既に効果のないことが立証されている「お願い」だけの行政指導の域を出ない指導要綱を見直すことに、どのような意味があるとお考えですか? 

     [原文ママ]


→ 北杜市太陽光発電設備設置に関する指導要綱を平成269月に制定以降、ほとんどの事業者等は理解を示し、関係法令の確認や事業者等の責務についても取り組んでいるところであります。指導要綱が存在しなかった場合とは、明らかに差が生じてくるものと理解しております。

   指導要綱について全く実効性が見られない、効果がないと切り捨てられることは、誠に遺憾でありますが、貴ネットワークにおいて、住民との合意形成の義務化、抑制地域の指定、明確な数値基準の設定などを明確に示した「条例の制定」を掲げられていることからのご発言であろうと考えます。

   太陽光発電設備設置にあたっては、個別に関連する法令があり、これらの法令に抵触しない範囲で、保護すべき法的な利益を条例の目的に定める必要があり、また、工作物に中で太陽光発電設備のみを規制する根拠を明確にすることや、土地利用の制限を伴う条例を制定する場合には、財産権との整合性を図る必要があることなど現在の法制度では様々な課題があります。

   国の事業計画策定ガイドライン策定を受け、県においても太陽光発電施設の適正導入ガイドラインも改訂を行ったことから、本市においてもこれらを踏まえ指導要綱の見直しを進めてまいりたいと考えております。

 


4. 他の自治体では、砂防指定地などの災害危険区域、自然環境と景観を維持するべき区域および住民の生活環境を守るべき区域では、太陽光発電設備に関する条例を制定し、設置を認めない区域または抑制区域として指定しています。


   これほどの乱立が進んでいる北杜市であれば、他自治体に先んじて立地規制に乗り出しても不思議ではありません。市長は、なぜ太陽光発電設備の「適切な設置」のための土地利用に関する法的拘束力のある規制を行おうとしないのか、その理由をお教えください。 [原文ママ]


→ 土地利用規制については、法令を根拠として、制限を行うこととなります。建築基準法の建築物(工作物)に該当しない太陽光発電設備のみを対象とする場合においても当然に根拠とする法令が必要であり、これを求められないまま制限を行うことは適当ではないと考えております。

   なお、現行制度においても、北杜市まちづくり条例において規定があり、地区まちづくり市民委員会を組織し、地区まちづくり計画において地区まちづくりルールを定め、市がこれらの認定を行った後は、市は地区まちづくりルールに沿った指導、制限を行うとともに、地区まちづくり計画に応じての支援も可能となります。

   地区まちづくり計画は、太陽光発電だけでなく、地区の将来像・目標を決めて、テーマ・分野別に課題を整理し、課題解決のための方策など総合的にご検討いただきたいと考えております。

 


5. 違反であることが明確にできない数値基準のない景観条例と法的拘束力のない指導要綱により、地域住民との合意形成がなされない設備がほとんどで、市役所の関係職員もその対応に膨大な時間を費やしていると推測します。貴重な人件費すなわち税金の無駄遣いとも言えます。


地域住民のためにも職員のためにも有益ではない現在の状況を、ただひたすら継続しようとする理由は何ですか? [原文ママ] 


→ 景観条例に基づく景観形成基準において、数値基準を求めることは、法令等による基準があり、その基準を基に制限を行うこととなります。太陽光発電に関しこれらの基準が存在しないことはご存じであるものと考えております。

   また、地域住民との合意形成についても、建築基準法や都市計画法など他の法令においても同意までは求められていないことから、太陽光発電事業をその対象とすることは難しいものと考えておりますが、長期に渡る事業であることから、地区住民との合意形成は望ましい姿であります。

   仮に、貴ネットワークのご意見のとおりに条例化した場合、事業者においては法的拘束力を持たない条例を遵守する義務というものに疑問を残し、また、違法性・無効性を問われる可能性を否定できません。市では、法的拘束力という担保なきままに、条例に基づいて指導・処分を行わなければならいという、いわば矛盾を抱えることとなり、貴ネットワークにおかれましても、このような状況を想定されているものと理解しております。


 

6. これまでに北杜市に設置された地上設置型太陽光発電事業者の80%以上が市外の事業者で、そのうち企業の社会的責任を全うするであろうと期待できる大手企業はわずか14%にすぎません。そのほとんどは異業種や新規参入の零細企業で、転売目的の投資会社が多くを占めます。近い将来の大量のパネル放置、災害や事故への適切な対応がされないことは容易に予想できます。 また、発電終了後の跡地問題も発生します。


   そのような負の遺産を北杜市中に大量に残すことに、首長としての責任を感じませんか?

     (2016年10月までの設置済み太陽光パネル数 導入容量より推定約41万枚、6173トン) [原文ママ]


→ 国の事業計画策定ガイドラインにおいても、保守点検及び維持管理に関する計画の策定及び体制の構築が掲げられ、事業の実施を長期安定的な発電の事業化に言及しており、また、撤去及び処分にあたっては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律をはじめ、太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインを示し、計画的な撤去及び処分費用を確保し、確実かつ適切な実施を求めております。

   行政としては、端から悪質な業者であると断定しての指導を行うことは難しいものであり、既に撤去及び処分にあたっての法令があることから、事業者においても法令遵守のうえ取り組まなければならないものと考えております。

   なお、北杜市太陽光発電設備設置に関する指導要綱に基づく届出からは、平成28年度未で、市内事業者が約44%、県内事業者が約25%、県外事業者が約31%となっております。

 


7. 太陽光発電の導入と自然環境の保全、地域環境との調和を図っていくことが重要とのお考えと伺いました。現在は自然環境の破壊、地域環境との深刻なトラブルが多発していますが、どのような方策で解決できるとお考えですか? 具体策をお示しください。 [原文ママ]


→ 太陽光発電を取り巻く状況の変化に注視し、市としても法整備の要望を国、山梨県へ要望しているところであります。行政においては、太陽光のみならず、例えば住宅の建築などにおいても、その行為を制限するためには該当する法令等があることにより拘束力を持つものであり、拘束力なき規制は意味を持ち得ないことを、これまでも貴ネットワークにお答えしているものと考えております。

 


8. 北杜市の太陽光発電施設の乱立状況はこれまでに多くのメディアに取り上げられています。また多くの不動産業者は、土地購入 

    を検討している人の多くが近くに太陽光発電施設ができないかどうかをたいへん気にしていると述べています。

    地方活性化施策の一環として今後都会から人を呼びこむことに影響がないとお考えですか? それとも移住促進はストップして 

  もよいとのお考えですか? [原文ママ]


→ 平成29年第1回北杜市定例議会においてもその様なご質問をいただいており、その内容に重なるものと考えております。

 本市への移住定住希望者は山岳景観や豊かな水資源があること等に魅力を感じて、また、子育て支援策の充実等に関心を寄せられているなど、首都圏で開催する各種相談会や移住定住相談窓口に来られる方々も本市の気候や仕事、子育て等といった内容が中心となっております。一方、太陽光発電等に関する質問をされる方もおり、今後も各種相談会などを通じて、本市を希望・関心を寄せられている方々が求めている情報の提供に努めてまいりたいと考えております。


また、これまで不動産業者からは、太陽光発電に関する設置状況についての問い合わせも数件いただいており、可能な範囲でこれに応じているところであります。

  なお、2016年移住定住希望ランキングによれば、山梨県が2年ぶりにトップに返り咲くとともに、移住希望者に高い人気がある雑誌ランキングでは若い世代の移住希望先「全国第3位」という高い評価をいただいております。

 


9. 北杜市再生可能エネルギービジョンの基本方針2で、“世界に誇れる再生可能エネルギー先進自治体を目指して”と謳っています。太陽光発電に関しては推進一辺倒の内容となっていますが、このような積極的な政策導入による具体的な数値目標を設定していますか? 或いは、今後の太陽光発電の増加に関しては、あくまで民間主導に委ねるものですか? また太陽光発電に関する先端自治体として、基本方針2の観点から、太陽光発電の持つ負の側面に関しても率先して検討し発信する姿勢を持つべきではありませんか? [原文ママ]


→ 推進一辺倒であれば、再生可能エネルギービジョン基本方針3“豊かな自然の恵みを分かち合う”においてアクションプラン「自然環境に配慮したルール」を盛り込む必要はないものと考えます。再生可能エネルギーの導入は、資源の少ない日本において、将来のエネルギー需給事情を考慮すれば必ずや必要です。

  国が進めているエネルギーミックス(電源構成)においても2030年度には原子力の電源割合が20%と目標が設定されており、2013年度の1%から東日本大震災前の25%に近づく数値です。これは原子力に頼らざるを得ない状況にあるということであり、これに替わるエネルギー源としては再生可能エネルギーがやはり有力と言わざるを得ません。また、我々の生活レベルなどを維持するとなれば尚更です。

  このため、再生可能エネルギーの導入が適正に行われることが重要であり、北杜市太陽光発電設備設置に関する指導要綱や北杜市景観条例、山梨県の太陽光発電施設の適正導入ガイドライン、FIT法及び事業計画策定ガイドラインに沿った取り組みが必要であると考えております。

  市といたしましても、事業者に対しては必要な指導を行っていくはか、情報収集に努め、国や県など関係機関との協議を行う中で研究を行うなど、引き続き検討してまいりたいと考えております。


なお、再生可能エネルギービジョンにおいては、災害時の非常電源に資する公共施設への導入や、自給的に利用し、温室効果ガス抑制に資する取り組みに対しての補助事業であり、北杜市総合戦略とリンクする中で、平成27年度から平成31年度まで5年間において累計600tC02削減を目標としているところであります。

以 上