2017516

北杜市長

渡辺英子様

太陽光発電を考える市民ネットワーク

                                            共同代表一同

拝啓

   新緑の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。

 

  去る425日にはご多忙中にもかかわらず、私共共同代表4名との意見交換の機会をお作り頂きましたことに、深く御礼申し上げます。太陽光発電設備の問題の大きさ、影響の深さ等を考えますと、お互いの理解を深めるにはあまりに限られた時間ではありましたが、文章のやり取りに留まらず、実際にお会いできたことは大きな一歩ではないかと感じています。

 

その際にいただきました再質問状への回答書につき、あらためて意見と質問をお送りいたします。誠に恐縮ですが、ご回答を下記までお送りくださいますようお願い申し上げます。

 

                メール送信先:太陽光発電を考える市民ネットワーク

                                  yametebassai@yahoo.co.jp

                                  送信締切日:2017531日(水)

 

尚、これまでと同様に本公開質問状とお送りいただきます回答書につきましては、全て公開とさせていただきますことをあらかじめご了承ください。

敬具

 

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太陽光発電を考える市民ネットワーク御中

 

向暑の候、太陽光発電を考える市民ネットワーク共同代表の皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。

さて、「4月25日の市長からの回答書に対する再々公開質問状」と題したご質問をいただきましたので、お答えいたします。

 

          平成29年5月31日

                                                                                             北杜市長 渡辺英子

 

【質問は斜文字で記載しています】

 

1.災害危険区域を県のガイドラインにおいて、立地を避けるべきエリアのうち特に市町村が定める重要な地域として、定められていない点について

   ガイドラインの本文中に示されているので、それで充足できるとのことですが、当日もお話したように、たとえ重複したとしても他市のように敢えて示すことによって、北杜市として立地を避けてほしいという強い姿勢を事業者に示すことが重要だと考えます。併せて住民にも市の姿勢が理解され、事業者共に地域の特性が共有されることで要らぬトラブルを事前に避けることになるのではないでしょうか。是非再考をいただきたいと思います。

 

2.大泉町西井出仙人小屋下の砂防指定地で違法伐採が行われ、太陽光発電設備が設置されてしまったことについて

   ご回答のように、市は必要な確認と指導を行ったとするならば、なぜ砂防指定地で違法伐採が行われ、太陽光発電設備が設置されてしまうという事態を防ぐことができなかったのか、何が原因であったのか具体的にご説明をお願いいたします。

 

1.2.について

   この件につきましては前回の回答のとおりでありますので、ご理解をお願いいたします。また、2については、違反行為に対する指導が行われていることから、必要である場合は、所管する山梨県へ照会をお願いいたします。

 

 

3.指導要綱の実効性について

   ご回答文を拝読いたしましたが、この点については市長と私たちとの認識は大きく違っています。市関係部署の職員の方々が日頃努力されていることは十分理解しておりますが、残念ながら結果が伴っていない、従って実効性がないことは紛れもない事実です。市長はじめ市職員の皆様がこの事実と真摯に向き合おうとしない限り、現状の改善はないと思います。市としては指導要綱を事業者に周知し、指導を行い、チェックシートを確認して、そこで終わります。実際に事業者がどのように行動したかを確認できているでしょうか?市民からの相談や苦情がない限り、わからないのではありませんか?私たちはこれまで数えきれないほどの多くの現場に行き、周辺住民の方々の相談に乗ってきました。残念ながら、これまでに、事業者側から主体的に着工前に周辺住民に対して説明会が開催されたことは、一度も聞いたことはありません。今現在に至っても、何らかの工事開始の動きを察知した住民の強い要望で、ようやく説明会が行われ、その時には既に資材の搬入がされていたり、工事そのものが開始されている場合がほとんどです。

 

私たちは住民との合意形成に向けてのステップが最も重要と考え、県ガイドラインでも明記されているように事業計画段階で出来るだけ早く関係者(区長や隣接する住民、土地所有者、太陽光発電施設の立地により防災面や景観面等で影響を受ける住民)に対して十分な説明を行い、話し合いの場を作ることを求めています。その内容は条例案でも既にお示しした通りです。

 

突然戸別訪問をされても、すぐに対応できない人がほとんどですから、日時を定めて関係者が一堂に会する説明会が住民の理解を得るためには最も有益で、必要不可欠です。また、地区長だけに説明されたこともこれまで多くありましたが、地区の在り方、行政区の加入状況などは同じ北杜市でも地区により大きく異なることをご理解いただきたいと思います。

 

また、表示に関しては、未だにほとんどされていないということを見ても要綱がいかに実効性がないかが明らかです。414日に資源エネルギー庁新エネルギー課長の北杜市視察の際にも、7ヶ所見ていただいた中で1ヶ所しか表示がなかったことを課長自ら指摘されていました。

 

従来型の産業で限られた業界であれば要綱でも可能なのかもしれませんが、太陽光は全国の企業や個人、誰でもが事業者になることができる特殊な事業です。要綱はあくまで行政指導であり、事業者の任意の協力を求めるものである以上、膨大な不特定事業者への対応には要綱の限界は明らかです。 

 

4.太陽光に関する条例化について

   「根拠法令がない」とのご回答は、これまで幾度となく議会答弁で繰り返されてきたこと「上位法がない」と同じです。しかし、これはあくまでも委任条例としての考え方を出ていないからです。受託事務の範囲であれば、おっしゃる通りです。しかし、自治事務の範囲であれば、必ずしも上位法は必要ではなく、最終的には法令の範囲とは憲法となるはずです。国の法令はあくまでも全国一律のものでなければならず、全てを法令で定めることはできません。特に太陽光発電設備に関しては、FITの開始と共に突然急拡大したもので、周辺法整備が全く追い付いていないのは誰の目にも明らかです。確か制度上の不備であり、国の責任であり、それは国も認めている所です。しかし、北杜市の地域性、山岳森林地帯であること、観光地であること等に合致した立地規制を行い、住民の安全と自然環境を守ることは自治体の責任でもあります。そして、それは地方自治の本旨として、国の法令がない領域に対して横だし条例ができる範囲です。憲法94条の「法律の範囲で」は、即ち法令に抵触しない限りは可能と判断されています。「拘束力なき規制」というのはあたらないと考えます。

 

確かに、事業者の財産権、自由な経済活動を制限することになるので条例の作成は決して簡単ではありません。しかし、既に周辺住民の財産権を侵害しているという現実があり、また住民の生命や財産に危険を及ぼす可能性が否定できないとすれば、公共の福祉の立場から何らかの立地規制を条例によって行うのは、責任ある自治体として当然のことではないかと思います。

 

そして、改正FIT法の重要な改正点は、他法令遵守をしなければ最終的には認定取消もあり得るとしたことです。違反が明確になる条例がなければ、改正FIT法は全く生かされないことになります。他の自治体が昨年から条例化に向けて動きが活発になっていることは十分ご理解いただいていると思います。全国的にも太陽光乱立で有名な北杜市が、そのような無策のままでよいとお思いですか?

 

3.4について

   貴ネットワークから条例案をご提示いただきました。「財産権、自由な経済活動を制限することになるので条例の作成は決して簡単ではありません。」とおっしゃるとおり、貴ネットワークでも労力と時間を費やされたのでははないかと思料いたしますが、現状においては、今までお答えいたしましたとおり、様々な課題があり、条例案は受け入れることは難しいものと考えております。法令等による規定がない範囲においての条例が可能ではなく、公共の福祉のため規制するには、上位の法令が必要となるものであると考えております。何らかの権利が侵害されている事実があれば、何に起因しているのかを明らかにし、行政が関与できる、すべき事項であるのかを勘案し対応するものです。ご存じのとおり指導要綱は条例ではありません。また、条例化イコール実効性という姿が見えるかということであります。指導要綱は、行政指導として事業者等に協力を求め、取り組んでいるものであり、これまでの同様なご意見、ご質問に対して、議会答弁においても回答させていただいております。

 

なお、市としては、行政区への加入を案内、勧めておりますが、加入にあたっては様々な事情があるかと考えます。地域内においてコミュケーションを図るという点において、自治会への加入は有効であり、一定の成果はあるのではないかと考えてます。

   また、指導要綱に基づく届け出があった場合、特に事業者等の責務について確認を行っており、地区に周知、説明を行ったか、理解が得られているのかなどを確認し、周知、説明が実施されていない場合は、これを行うよう指導しております。また、地区住民等からの問い合わせもあり、周知説明がない場合は、事業者等に対して周知、説明を行うよう指導しております。貴ネットワークにおいても、周辺住民からのご相談に乗られ、行動に移されたのだとすれば、事業者等に対し、どのように対応されたのか、要望を出されたのか、情報共有させていただきたいとも考えております。

   表示に関しては、指導要綱制定から事業者等の責務に掲げていた事項です。併せてフェンス等の設置についても電気事業法では一般電気工作物や技術基準の解釈によっては困難であったものが、改正FIT法において義務化となったことについては、FIT法が直接指導及び助言、改善命令等が行えるものであり、歓迎しているところであります。

 

 

5.80%が市外の業者であり、また事業者の質の低下が懸念され、将来負の遺産を残すことについて

   当然悪質な事業者と断定して指導を行うことはできないことは理解します。事業計画策定ガイドラインにおいて、撤去、処分費用の積み立てなどを求めていることも理解しています。しかし、事業者が倒産してしまえば終わりです。計画倒産を目論む事業者も広告されています。

   従って、このような事業者が事業を拡大しにくい対策、即ち立地規制や、地域との共生を厳格に求めて行くことによって、少しでも設置そのものを減らしていくことが重要だと考えますが、いかがでしょうか?

 

設置届出の市内と市外の割合ですが、私たちの示した市外80%は、容量をベースとしています。市長の示された数字は、あくまで届出件数の割合となっています。しかし届出件数だけでは、実際の土地に対する影響、特に廃棄量の比較には適当ではないと考えます。特に現在の設置届出は、分割案件をそれぞれ分けて届け出る事業者、全て一括して届け出る事業者などばらばらで、件数そのものが統一されていません。従って、容量を比較することが全体に対する影響を考える上で適切であると判断します。

 

5について

   立地規制を行うためには、法令に基づいて行う必要があり、これまでも回答したとおりです。現状下においては、地区まちづくり市民委員会による地区まちづくりルールを作ることで、対象の範囲を定め制限を行うことが可能です。

   また、太陽光発電事業については、単なる経済性だけでなく、再生可能エネルギー利用として地球温暖化対策にも力点を置いた着実な発電事業として行われるべきであるものと考えております。

 

 

6.移住促進との整合性について

   私たちも同様ですが、多くの移住者が北杜市の豊かな自然環境、山岳景観に魅力を感じて移り住みました。市長も「山岳景観や豊かな水資源があること等に魅力を感じて」とも言っておられます。その景観に太陽光は異質なもので、多くの人が失望を禁じ得ません。これまでのランキングに甘んじることなく、これ以上景観を壊さないように最大限の努力をしていただきたいです。

 

実際に周りの環境が一変し、泣き寝入りを余儀なくされることに強い憤りを表明され、当地を去られた方も複数居られることはご存知のはずです。

 

6について

   前回お答えいたしましたとおり、本市への移住定住希望者は、山岳景観や豊かな水資源があること等に魅力を感じ、また子育て支援策の充実等に関心を寄せられているなど首都圏で開催する各種相談会や移住定住相談窓口に来られる方々も本市の気候や仕事、子育て等といった内容が中心となっております。

   一方、太陽光発電等に関する質問をされる方もおり、今後も各種相談会などを通じて、本市を希望・関心を寄せられている方々が求めている情報の提供に努めてまいりたいと考えております。

 

 

7.再生可能エネルギーについて

   再生可能エネルギーを長期的視野に立って、増やしていかなければならないことは、多くの人は異論を持たないと思います。しかし、現段階では全てにおいて問題のない再生可能エネルギーはなく、将来の技術革新に頼らざるを得ないと言えます。

   しかし、再生可能エネルギーへのシフトと、現在起こっている太陽光に異常に偏重した状況は別問題です。これはもはやエネルギー政策ではなく、単なる容易な金儲けの手段となっているだけで、FITが終わる20年後にはほとんどの事業者が撤退すると予想されています。

   また、太陽光は現段階では不安定で、経済的ではなく、ベースロード電源には成り得ず、逆に常にバックアップ電源として火力、原子力発電所を稼働させていなければならないことも忘れてはならないと思います。

 

アクションプランに掲げられた「自然環境に配慮したルール」や住居環境にも配慮したルールが現実に見えてこないことが、大きな問題です。

   環境省のHPにもあるように太陽光も設備の製造・廃棄の過程では温室効果ガスを排出します。北杜市の豊かな森林を守り、森を育てて行き、省エネルギー日本一を目指すことも温暖化対策として重要ではないでしょうか? そして、後世のためにも。

 

7について

   再生可能エネルギービジョン「基本方針3.3自然環境に配慮したルール」については、具体例として、該当する法令や地域との協調を図り、自然環境等に配慮しながら進めていくこととしております。太陽光発電設備の設置に関し、各自治体においても個別の法令等により対応しております。しかしながら、事業者においても憲法上の経済的自由権(営業の自由や財産権)が補償されていることを踏まえ、これらの権利を行使するにあたって自治体として対応できることは限られております。重ねて、国レベルでの、近隣環境、住民への配慮のための制度及び実務の構築が法的安定性をもたらすものであり、事業者側及び地域側の双方にとって有益なものと期待できるものであることから、引き続き国、県に対して法整備の要望を行ってまいります。

 

なお、地球温暖化対策のためには、「創エネ」と「省エネ」が不可欠です。このため、市においては省エネルギー機器の導入を促進するため、本年度より再生可能エネルギー設備設置費補助金として、太陽熱温水器・エコキュート・家庭用リチウムイオン蓄電池・木質ペレットストーブの導入を補助対象として省エネルギー対策を推進しております。

 

終わりに

   これまで、貴ネットワークからは、私の市長就任以来、公開質問と題したご質問を三度頂戴いたしました。平成29年1月に面談の機会をつくるようご要望をいただき、新年度に入り機会を設けさせていただきたいとしたところ、公務で時間がとれないのであれば、公務として質問に答えよとして、当月末に1回目のご質問をいただいたのが最初でした。

 

1回目の回答の後、真意が理解できないとして、やはり面談したいとの申し入れをいただきました。私としては時期の問題であったことから、平成29年度に入ってから機会を設けさせていただきたいとしたところですが、平成29年3月に2回目の質問(再質問)をいただきました。このため、面談時に回答させていただくとし、本年4月25日に面談いたしました。

    面談の際には、意見を交換する中で皆様と通じ合う部分もあり、ご理解をいただいたものと考えております。