来る11月13日(日)に北杜市市長選挙が行われます。これまで12年市長を務められた白倉市長が引退されることになり、既に三名の方々が新市長への立候補の意思を表明されていらっしゃいます。  

 

 2015年3月より私たちは北杜市に乱立する地上設置型太陽光発電施設に法的規制を求める署名活動を行って参りました。その結果、指導要綱の施行、景観条例の改正が行われ、一定の成果はあるものの、多くの市民は実効性のある結果には未だ達してはいないと感じています。その様な状況で新市長に立候補予定の皆様に、地上設置型太陽光発電施設についてどのようなお考えをお持ちかを伺うために、私たちは公開質問状をお送りいたしました。その結果、皆様から回答書をいただきましたので、ここに掲載いたします。

 

 回答文は、一切の手を加えず原文のまま掲載しております。 

 

太陽光発電施設はまだ未稼働件数も大量に残り、北杜市の将来にとって大変重要な課題です。有権者の皆様には是非熟読いただきまして、投票に臨んでいただけましたら、幸いです。  

 

 また、立候補予定者の皆様、大変お忙しい中私共の活動に深いご理解を賜り、ご回答をいただきましたことに心より御礼申し上げます。 

 

                               北杜市太陽光発電を考える市民ネットワーク 共同代表一同

 

 

 

 

              市長選立候補予定者への公開質問状に対する三氏のご回答

 

1.現状の北杜市に於ける地上設置型太陽光発電設備の設置状況を、どのように感じていますか?

 

【上村英司 氏

北杜市の太陽光発電設置は、3・11福島第一原発事故後、急増しました。

この事故により、原子力発電に対する問題意識が広がってきました。

国は再生可能エネルギーを後押しし、経済的活動に拍車をかけました。本来であれば、日本のエネルギー政策をどうするか、国民・専門家共々議論が必要でした。 3・11の事故発生により、具体的な議論なきまま、太陽光バブルに突入しました。

日照時間日本一・北杜サイトの実証実験の完成、が全国の投資家の注目となりました。

自然景観よリビジネス先行、加え里山の維持が困難な高齢化、松くい虫の被害・倒木による損害賠償等々、に地権者は怯え、一方国の法整備の後手の現状が、未着工を含め4, 500件余の現状となったと考えます。

 

【篠原眞清 氏】

現状の地上設置型太陽光発電施設の設置状況は、乱立状態であり、大変危惧しています。無秩序な開発と木々を伐採してまでの太陽光パネルの設置は、北杜市の宝である自然環境や景観を破壊しています。また、ほとんどの設置工事が住民への事前説明なしに進められており、生活環境や景色が突然変わることへの住民の不安や怒りは計り知れません。現状の設置状況は、市民生活に深刻な影響を及ぼしており、大問題であると認識しています。

既に、設置は行き過ぎた状態であると感じていますが、認定を受けて未だに稼働していない案件が3000件以上あることに、大きな危機感を持っています。

 

【渡辺英子 氏】

太陽光発電設備の設置に関しては、事業者等が留意すべき事項等を定めた本市の景観、自然環境の保全及び地域環境との調和を図りながら、本市の条例、指導要綱及び県のガイドラインに基づいた調査及び指導を行いたいと考えています。

また、今後はエネルギーの自給自足と言う観点から情報技術を活用して家庭内のエネルギー機器や家電などをネットワーク化したスマートハウスを推進して参りたいと思っています。 

 

 

2.これまで、北杜市は「事業者の自由な経済活動を抑制できない」「土地所有者の財産権を侵害できない」と主張し続けてきました。事 

業者の自由な経済活動・土地所有者の財産権は、周辺住民の安全で心豊かな暮らしを送る権利、周辺土地所有者の財産権より優先するとお考えでしょうか? またその理由を具体的に述べてください。

 

【上村英司 氏】

北杜市の将来はどうあるべきか。これは広域合併で誕生した北杜市が抱える重要な課題です。古代から甲州は急峻なため九筋で統治されてきました。全国でも稀有な統治形態、筋ごとに地縁・血縁が濃く、地域性が未だ残存しているのが現状です。

釜無川に沿い、諏訪・高遠に続く武川筋・八ヶ岳の七里岩台地の逸見筋・塩川に沿い佐久、上田に続く塩川筋、この三筋が統合し広域合併で北杜市が誕生しました。このうち逸見筋は溶岩台地、八ヶ岳が生み出す湧水群から下に人々は集落を形成してきました。

湧水より上の地帯は、入会地として、冬を凌ぐ、蒔き・炭、春・秋には山の恵みに与ってきました。未だ「恩賜県有林」の地名が残る理由です。この恩賜県有林が高度経済成長期、リゾート地として開発され、入会地もリゾート化しました。今では北杜市民の25%の方々の終の棲家です。三筋と共に新旧住民の方々が市民として一体感を共有することが難しい歴史的な背景です。しかしこの現状を放置することは出来ません。明治時代に入り、県有林や入会地は皇室の財産となり、地域住民の生活の糧が断たれました。住民は山に火を放ち、後始末の焼けただれた材木で冬を凌ぎました。その付けが明治の後半に大洪水を頻発させ、恩賜県有林として払い下げられました。江戸時代まで、全国有数の豊かさと教育力を誇っていた地が、大洪水により、全国で最も貧しい県に陥りました。歴史から学び、再び同じ過ちを繰り返さないためにも、「私たちの町はこうあるべき」というグランドデザインを広く検討し、市民の創意としてまとめることこそが、今求められていると思います。

その上に立ち、土地所有者の権利、住む人の権利、景観保全等々、多くの抱えている課題を解決していかねばならないと思います。

 

【篠原眞清 氏】

現行の法律では、事業者の自由な経済活動や土地所有者の財産権が優先されており、周辺住民の安全で心豊かな暮らしを送る権利等は厚く保護されているとは言い難い状況です。

しかし私は、これからの日本、また北杜市のあるべき姿を考えた時に、住民が心豊かな暮らしを送る権利や周辺土地所有者の財産権が大切にされる社会でなければならないと考えています。この観点で、国にも必要性を訴えながら、市として先進的な取り組みをしていきたいと思います。

その理由は、自然や景観は近隣住民だけでなく、あらゆる人が享受しているものであり、人々が心豊かに暮らすということこそが政治が目指すべきものだと考えるからです。

 

【渡辺英子 氏】

周辺皆様の安全で心豊かな暮らしを送る権利も大変重要で大切なことだと考えています。

また一方では財産権も存在します。

従って、どちらの権利を優先するということではなく、ケース・バイ・ケースで解決していく方向がよいと考えます。

今後は、住民・関係者の皆様からの意見・質疑等に対し、真摯に対応することとします。

 

 

3.指導要綱が施行されてから2年、山梨県ガイドラインが施行されてから10ヶ月、景観条例が改正されてから3ヶ月が 経過しましたが、北  

杜市の指導の成果はほとんど見られず、簡単な表示すらされていない設備がたくさんあります。景観への配慮は、ほとんど見られないのが実状です。 なぜ北杜市では実効性のある行政指導が行えないのか、その 理由は、どこにあると思いますか? 

 

【上村英司 氏】

国のエネルギー対策として進んできた地上設置型太陽光発電が、行政や市民が考えているスピードより速く進んでしまったことが問題だったのではないでしょうか。当時の北杜市は、再生可能エネルギーの先進地として、全国にアピール していました。

ビジネス重視より、一般家庭のゼロエネルギ‐化の推進、災害に強く「防災」に備えた環境創造都市の構築だったと思います。しかし、高額の売電価格が設定され、ビジネス重視の外部資本が押し寄せ、それに対し、指導要綱・ガイドライン・景観条例が後手に回ったのは歪めません。A2(質問2の回答)でも申し上げたように、北杜市のグランドデザインを内外に明確に発信する重要性が改めて重要であえると思います。

 

【篠原眞清 氏】

白倉市長のもとでの北杜市政が、太陽光発電の推進一辺倒だったことが最大の要因と考えます。白倉市長が、自然環境や景観の保全に政策の力点を置かなかったということです。

まず市が、条例や要綱の遵守と指導強化の姿勢を明確にしなければならないと考えます。

 

【渡辺英子 氏】

本市では、平成24年6月に北社市サイン計画(指針編)を策定して、サインに使用する書体の統一、色彩の統一、サインの大きさについてもできるだけ最小限の大きさにするなどの方針が示されております。これらのことを踏まえて、景観条例をもとに今後は実施計画の策定を視野に入れていきたいと考えております。点から面への施策です。

 

 

4.景観計画の変更にあたり、過去最多のパブリックコメントを記録した通り、多くの市民がより厳格で実効性のある規制、および太陽光

発電設備の設置抑制エリアの指定を含むゾーン化を求めています。 この声に答えるために、市長になった暁には、どのような政策を実行しようとお考えですか? 具体策を明確に示してください。 

 

【上村英司 氏

市長になった暁には、市のグランドデザイン作りに着手します。広域合併により誕生した北杜市なので、市全体を同じ網にかけるのは難しいと考えます。旧八町村の実情にあつた検討を進め、水源や文化財の保護、森林整備など、様々な視点にたつたゾーイングを進め、平行し、地上設置型太陽光について、設置できるエリア指定を考えたいと思います。

 

【篠原眞清 氏】

より厳格で実効性のある規制については、パネルの高さや境界からの後退距離を数値化することが考えられます。その実現に向け、事例の研究・調査等をはじめ、あらゆる角度からの検討をしていきたいと思います。

ゾーン化については、『北杜市まちづくり条例』に定められた「地区まちづくり市民委員会」を周知し、地域住民自らのまちづくりの一環として考えていただけるよう、市がサポートをしていくとともに、湧水・景観・歴史等のエリアについては、市長自らが出向いて、地域住民の方々との合意形成を図って、エリア指定、ゾーン化を推進していきたいと思います 

 

【渡辺英子 氏】

本市の市民の皆様は、自然景観、地域環境などに関心が深く、パブリックコメントの件数にも表れているように承知しております。できるならば「北杜市らしさの自然環境を守る条例」合わせて「北社市サイン計画の実施計画」の策定など、踏み込んだ施策検討をしていきたいと考えております。 

 

 

5.これまで北杜市は、豊かな自然環境・冷涼な気候・美しい山岳景観に魅かれ、多くの人が観光に訪れ、別荘を建て、移住しています。 

北杜市でも移住促進、観光客誘致を政策の重要な柱に掲げています。 これらの政策と太陽光発電設備の急増は、相容れないものと考えますが、どのように考えますか? 

 

【上村英司 氏

移住促進と太陽光発電の関係は、一定のルール作りによって共存が可能だと考えます。

環境を考えたとき、原発や化石エネルギーに頼らない政策は避けて通ることはできません。

北杜市のエネルギーは、北杜市で生産し消化する。いわゆる循環型の社会作りの要です。

森林も放っておけば藪となり、再生は不可能です。人と共生できる里山の再生が貴重な水資源を守り、災害に強い町づくりの原点です。電気が自給できるまちづくりが防災面からも必須です。これらの環境整備が整い環境に優しい、住んでみたい町になると思います。

 

【篠原眞清 氏】

私も、相容れないものと考えています。北杜市にとって、移住促進、観光客誘致は大変重要な政策ですが、地上設置型太陽光発電設備の急増は、移住や観光促進の阻害要因となるだけでなく、隣接不動産の資産価値の低減が危惧される状況にあると認識しています。

 

【渡辺英子 氏】

おっしゃる通り、豊かな自然環境、冷涼な気候・美しい山岳景観は北社市の宝です。次世代に引き継がなければならない財産です。そのためにも自然環境の保全、地域環境との調和を優先して景観まちづくりを進めていきたいと考えております。

 

 

6.太陽光発電設備だけでなく、今後さまざまな開発の波が押し寄せてくる可能性があります。 北杜市の将来を考え、どのようなまちづくりがふさわしいと考えますか?  また、それを実現するにあたり、今どのような具体策が必要でしょうか? 

 

【上村英司 氏

北杜市の将来を考えたとき、住民本位で北杜市がどうあるべきかを議論し、賛成意見・反対意見の相互が議論する環境作りが必要であるとおもいます。議論をまとめる力は、中長期ビジョンに立脚、次の世代に負担を先送りしない視点が大切です。

地方分権社会だからこそ、地域に立脚・現実直視を基礎に、グローバルなデザインを構築、併せ、実効性のある明確な北杜市の姿を示すことが重要性と考えています。

 

【篠原眞清 氏】

私は、誇りを持って北杜市を未来に引き継いでいくためには、自然環境や景観の保全が欠かせないと考えています。保全をしながら、それらを観光、農業、住環境等に活かすことが、魅力ある北杜市の発展につながり、豊かさをもたらすものだと思います。

そのためには、住民自らが郷土のことを知り、新しい視点を学び、まちづくりに参画することが大切です。私は、学び合いの場をつくるともに、「市民会議」等を設けて、市民のみなさんの声が市政に反映できるしくみをつくっていきたいと考えています。

また、環境基本条例に北杜市の特色ある環境の保全を明確にうたう見直しが必要と考えています。

 

【渡辺英子 氏】

まずは市民の皆様が一番、開発の波が押し寄せてきたら情報公開をして市民の皆様のご意見を伺い、北杜市の将来にとって必要なのか必要ではないのかを判断の起点において、まちづくりを進め、そして北杜市総合計画策定委員会を設置して「北杜市総合計画」の中に将来を考えたまちづくりの基本理念を盛り込んで行きたいと考えています。

 

 

7.その他ご意見等がございましたら、ご自由にご記入ください。      

 

【篠原眞清 氏】

この間の「太陽光発電を考える市民ネットワーク」の活動に対して、心からの敬意を表します。皆様方を中心とする住民運動が、地上設置型太陽光発電施設を位置づける『北杜市景観条例』の改正につながったと確信しています。北杜市の新しい可能性を感じることができました。

私は、今「あなたが参加したくなる市政に変える」をキャッチフレーズに活動しています。皆様方の大切な意見、市民の声が生きる、政策に反映される市政を目指したいと思います。

 

【渡辺英子 氏】

今回の「太陽光発電を考える市民ネットワーク」の皆様の公開質問状は、名称のとおり自然環境に関する質問が多く、どれも北杜市にとつての重要な課題であり、自然環境が北社市の財産であるということが市民の皆様にもご理解いただいたと思っています。そのためにも、市民の皆様のご意見を伺い、市民目線でまちづくりを推進していきたいと考えております。そのためには皆様のお力が必要です。是非重ねてよろしくお願い申し上げます。

 

(ホームページ主催者にて、ご回答者を五十音順に掲載し、文字フォントをMS明朝に統一させていただきました)