北杜市の動き

 

20154

 20163月  市民ネットワークより北杜市に対して、実効性のある設置規制条例を求める署名11,929筆を北杜市に提出。

        しかし、北杜市は上位法がないため設置規制はできないとの主張を継続。

 

201710月     太陽光等再生可能エネルギー発電設備設置に関する検討委員会(公募市民7名、公募事業者3名、議員各会派

                      より1名合計6名、市選出の学識経験者4名から成る)を設置。

                      これまでの設置による問題や今後予測されるリスク等について議論を重ね、設置規制条例が必要と全会一致

                      で結論付けた。

  

201810月     上記議論を踏まえて、検討委員会として必要な規制条例骨子をまとめ、早期に条例策定を求める提言を市長

                      に提出。

                       市長は、提言を最大限に尊重することを公言。

 

20192月   条例策定の動きが見えないことから、条例制定を求める市民が市庁舎前に集結し、早期条例化のキャンペーンを行う。 

 

20193月   北杜市は「太陽光発電設備設置と自然環境の調和に関する条例」素案を発表し、意見募集開始。

         許可制を取る規制条例という形は取るものの、許可基準は現状の問題ある設置を容認するもので、検討委員

                     会の提言と大きく異なるものであった。

 

                     検討委員会の市民委員7名は、市長に対して提言との主要相違点を正す公開質問状を提出。

 

        市長からの回答は、規制条例を策定するとしながら、事業者の利益確保を自然環境や住民の生活環境よりも優先する姿勢を崩さず、地域環境を守るために必要な規制を全て「過度な制約」として排除するものであった。

 

20194月    検討委員会市民委員7名は、市長の回答を不服とする抗議と条例素案の修正要請の文書を市長に提出。

  

20196月   北杜市は、定例議会直前にようやくパブリックコメントの結果を発表。

                         総意見件数133件(122名)、そのうち規制強化を求める意見117件。

                     しかし、北杜市は検討委員会や多くの市民の意見を無視して、全く修正なしの原案通りの条例案を議会に提

                     出。

 

       3日間の太陽光設置条例に対する特別委員会(全議員)による審議の末、定例議会において、高さ2.5m以下

                     を2m以下に、施行日を20201月から201910月に変更する修正のみで、その他は原案通りに可決成立。

  

【雑感】

     検討委員会の提言を最大限尊重すると公言した渡辺英子市長、そして、各会派を代表して1年間にわたる検討委員会に参 

  加し、設置により住民が直面する多くの問題について議論を重ね、その上で明確に示された条例骨子を含む提言に賛同し

  た責任ある市議会議員の方々の最終的な議会での行動を住民の皆様はどのようにお感じになるのでしょうか?

 

議会に提出された6件の修正案と修正部分を除く原案に対する議員の方々の投票結果は、次の通りです。

 

2019年6月27日 北杜市定例議会 太陽光発電設備設置と自然環境の調和に関する条例に対する市議会議員の投票結果        
                                                   
 

修正内容 北杜クラブ 6 ほくと未来2 公明党2 ともにあゆむ会 4 明政 2 共産党2 無所属
の会2
合計

























































×
1 野中 地区の土地所有者、住民への説明会義務
維持管理報告毎年義務
情報提供に許可の取消を追加
× × × × × × × × × × × 9 11
2 相吉 高さ1.5m以下、離隔距離2m以上 × × × × × × × × × × × 10 11
3 清水 目的: 調和でなく維持・保全とする
特定地域は設置をしてはならない
× × × × × × × × × × × 10 11
4 千野 高さ2m以下
施行日10月1日
× × × × × 15 5
5 栗谷 強度計算をしたことの誓約書提出義務 × × × × × × × × × × × 10 11
6 岡野 指導を「受けた」を「行った」へ変更
情報提供に許可の取消を追加
× × × × × × × × × × × 10 11
7   4を除く原案 × × × × 16 4
                議長                                  
  ピンク塗りつぶし:可決成立した議案                                            
  〇:賛成                                    
  ×:反対                                              
  - :議長のため裁決に加わらず。                                              
  黄色塗りつぶし:検討委員会の議員委員で、提言に賛同した議員の方々。                              

 

  自らが責任を持って提言した条例骨子とは大きく異なる条例に賛成した議員の方々は、いったいどのようなお考えなのでしょうか?

 

また、一方でごく一部のみの修正案を提出された各議員の方々は、その修正項目以外の多くの提言に反する項目には賛同したことになります。また、自ら一部とはいえ修正案を提出しながらも、その修正案を否定した内容の原案にも賛成しています。修正案は通ればよいけれど、通らなくてもよい程度のものだったのでしょうか?

  

 特別委員会および議会を傍聴して、議員の方々の現場状況や法令の認識レベルの低さには驚くものがありました。例えば、安全を担保するために、事業者には電気設備の技術基準への適合義務が課せられていますが、大多数の低圧案件についてはあくまで自己責任であり国(資源エネルギー庁)はこれを事前に確認をして認定を行っているわけではありません。しかし、国が安全を確認して認定を行っているという前提で議論を行っている議員が少なからずいらっしゃいました。

  

市民を代表して北杜市の舵取りを行っている市長および市議会議員の方々の行動は、それを支えている民度の表れでもあり、市民全員の責任でもあります。

  

条例の施行以降、当然のように緩い許可基準に基づいた自然環境に調和しない設備が次々と設置されています。また、驚くべきことは条例で規定された事業者の責務を果たさず、周辺住民の理解を求めず、地域との調和を無視した事業までも市の判断により実施されています。これは、この条例の目的として第1条に明記された「豊かな自然環境及び美しい景観並びに市民の安全・安心な生活環境の調和を図り、もって魅力ある地域社会の実現に寄与する」目的を達成するための必要な措置を講ずるとした「市の責務」が果たされていないことになるのではないでしょうか?